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宿泊施設の直販比率を上げるには、OTAより先に選ばれる理由をつくる

宿泊施設の直販比率を上げる取り組みが続かないのは、公式サイトや割引の問題ではありません。OTAで比べられている理由をそのままにすると、公式に来ても決め手がないままです。順番と依頼先の型を整理します。

OTA経由の予約が多く、手数料が重い。公式サイトも作った。それでも直販が増えない。この記事は、ホテルや旅館でその数字を見ている方に向けて書いています。

結論を先に書きます。宿泊施設の直販比率を上げる取り組みが続かないのは、公式サイトや割引の問題ではありません。OTAで比べられている理由をそのままにしているからです。 価格と立地で選ばれている状態では、公式に来ても決め手がありません。

手数料は、表示されている率より重い

まず前提を揃えます。OTAの手数料は、基本料率だけを見ると実態より軽く見えます。

主要OTAの実質手数料は、ポイント原資やクーポン原資を含めると**15〜20%**に達するとされています。楽天トラベルは基本7.0〜8.25%に対して実質15〜20%、Booking.comは基本12%に対して実質15〜20%、Expediaは基本12〜18%に対して実質18〜25%です。

同じ出典では、直販を10pt改善するだけで年間数百万円規模の手数料削減につながるとも示されています。客室単価が高い施設ほど、この差は大きくなります。

宿泊施設の直販比率を上げる前に、何で選ばれているかを確かめる

同じ出典に、業態別のベンチマークが示されています。

業態直販比率の目安
都市型ビジネスホテル15〜25%
高級シティホテル35〜55%
高級旅館30〜50%

自館の業態の帯の中で、直販比率がいまどこにいるかを先に見てください。 帯の下限にいるなら伸ばす余地があり、上限付近なら別の打ち手を探すべきです。

そのうえで確かめることが1つあります。OTAの一覧の中で、自館は何で選ばれているか。 価格か、立地か、写真か。価格と立地で選ばれているなら、公式サイトを整えても結果は変わりません。同じ比べ方のまま、置き場所を変えただけになります。

よくある失敗は、受け皿から作ること

直販を増やすと決めたとき、多くの施設が同じ順番で動きます。

  1. 公式サイトをリニューアルする
  2. 予約エンジンを入れ替える
  3. 公式限定の割引を打つ
  4. メタサーチに掲載する

どれも必要です。順番が逆なだけです。 1と2は受け皿、4は入口。そして3は、手数料分を値引きに回しているだけで利益がほとんど変わりません。

割引で直販を増やすと、次の年の価格が下がります。OTAに払っていた分をお客様に渡しているので、手数料は減っても単価も減るという状態になります。

直販比率を上げるために、何を決めるのか

公式で取る理由は、価格ではなく内容で作ります。

  • 公式でしか選べないものを置く … 部屋の指定、到着時間の融通、食事の組み替え。値引きではなく自由度
  • 滞在の中身を書く … OTAの一覧に収まらない情報を出す。何のために来る宿なのか
  • 写真の順番を変える … OTAは比較の場なので設備が主役になる。公式は体験の順に並べる
  • 口コミへの返信を公式の文体で書く … 検索で読まれている。ここが施設の人格になる
  • 到着後の体験を揃える … 公式で期待させた内容と現地が一致していないと、次は戻らない

最後の1行が抜けると、直販比率を上げても一度きりで終わります。 期待させて取った予約は、現地が追いつかなければリピートになりません。

依頼先の型で、できることが変わる

直販を増やす相談先には型があり、担える範囲が違います。

依頼先の型主になること届かない範囲
予約システム会社受け皿と導線選ばれる理由
広告・メタサーチ入口の露出現地の体験
制作会社サイトと写真到着後の設計
横断して見る形理由から現地まで—

どれも必要な仕事です。 受け皿が壊れていれば予約システムの会社が要りますし、露出が足りなければ広告が効きます。

ただ、価格と立地で比べられている状態そのものは、どの型でも単独では変わりません。 そこを動かすには、何のために来る宿なのかを決め、公式とOTAと現地で同じことを言う必要があります。

GIFTが関わった宿泊施設では

ある宿泊施設では、3か月で直販比率が15%から25%になりました。

業態別のベンチマークに当てると、都市型ビジネスホテルの帯の下限から上限への移動にあたります。やったのは割引ではありません。何のために来る宿なのかを決め直し、公式とOTAと現地で言っていることを揃えました。

GIFTは飲食店を直営しています。直営6店舗をプロデュースしています。期待させた内容と現地が揃っているかを、自分たちの店で毎日確かめているので、サイトだけを整える提案にはなりません。

宿泊施設のブランドをどう決めるかはホテルのブランディングの進め方に、改装の前に決めることは旅館のリブランディングに書いています。

どのような施設に向いているか

向いているのは、次のような状態です。

  • OTA経由が多く、業態のベンチマークの下限にいる
  • 公式サイトはあるが、見た人が予約に進まない
  • 公式限定の割引を続けていて、単価が下がってきた
  • 現地の体験には自信があるが、予約前に伝わっていない

向いていない場合もあります。 稼働率そのものが低く、まず埋めることが優先なら、OTAの露出を増やすほうが先です。また、客室単価が低い施設では、直販を10pt動かしても削減額が小さく、費用対効果が合わないことがあります。

相談する場合、どう進むか

最初にやるのは、OTAの一覧の中で自館が何で選ばれているかの確認です。価格で選ばれているのか、写真で選ばれているのか、指名で選ばれているのか。ここが分かると、受け皿を直すべきか理由を作るべきかが決まります。

体制として継続的に動かす形ならSTORE PM、公式サイトの作り替えが先ならWeb制作が入口になります。どちらも、はじめは現状をうかがうところからです。

よくある質問

宿泊施設の直販比率は、どのくらいが目安ですか?
業態で変わります。都市型ビジネスホテルは15〜25%、高級シティホテルは35〜55%、高級旅館は30〜50%がベンチマークとして示されています。自館の業態の帯の中で、いまどこにいるかを先に確かめてください。帯の下限にいるなら、伸ばす余地があります。
公式サイトをつくれば直販は増えますか?
受け皿としては必要ですが、それだけでは増えません。OTAで比べられている理由が価格と立地のままだと、公式に来ても決め手がありません。公式を見た人が「ここで取る理由」を感じられるかが分かれ目になります。
公式限定の割引で誘導するのはどうですか?
短期的には動きますが、続けると自館の単価が下がります。OTAの手数料分を値引きに回しているだけなので、利益はほとんど変わりません。割引ではなく、公式でしか得られない体験や条件に替えてください。
OTAをやめるべきですか?
やめる必要はありません。OTAは知ってもらう段階で強く働きます。目的は依存度を下げることで、ゼロにすることではありません。需要の高い日は直販を厚く、低い日はOTAで稼働を確保する、という使い分けが現実的です。

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